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2009年02月16日

孤独な戦士の呻き声

こんばんは、VOLVOXの天貝です。

今日は少し志向を変えて「感想文」です。

昨日は東京の劇団に所属している友人の演劇を見に
神楽坂まで行ってきました。
私は市ヶ谷にある大学に通っていたので
学生の頃は神楽坂にもよく足を運んでおりました。
神楽坂は「古き良き」と感じるものがいまだに残っていて
プラプラと散歩するのも楽しいところです。

神楽坂はその名の通り、坂に沿って商店街が並び
細い路地奥に行くと敷居の高そうな小料理屋さんなどがたくさんあります。
(最近はオシャレなカフェなども増えてきました)
そうかと思えば不意に民家の庭先などに出てしまったり、ちょっとした迷路でした。

孤独な戦士の呻き声



さて、私が昨日見た演劇は「劇団黒テント」さんが次世代を担う演劇人育成公演として行うもので、
いつもの黒テントさんとは少し違う演目になっていました。
今回は佐藤信さんが22歳のときにギリシャ悲劇翻案三部作として書き上げたもので、「イスメネ」「控室」「地下鉄」の三作から構成されていました。

内容は実際に見てもらわないと何とも説明しづらいのですが
個人的には二番目の「控室」に甚く感動しました。
あらすじは引用で申し訳ないのですが…


「試合場に続く控室。「選手」が一人、試合の準備をしている。
これから行なわれる試合はどうやら、人間対人間の、どちらかがこときれるまで続く闘いのようだ。
選手は部屋の中の「ある気配」に向かって語り続ける、「お前は誰だ!」。
やがて勇壮なファンファーレと共に試合が始まり・・・」

舞台には役者が一人、中央には椅子のみ。

視界に入るのは鍛えられた筋肉の躍動と
狭い控え室の空間に漂う大量の哲学的思考の断片。

それは相手を殺す目的のためだけに鍛え上げられた筋肉と
戦う理由を渇望する精神との永遠に理解し合えない議論だった。

つまり、到底理解し合えない二つのモノが、一つの空間に押し込められていた。
その密閉された逃げ場のない空間で、二つのモノが片方を支配しようとしている。

鍛え上げられた筋肉は純粋無垢な「相手を殺す」という意思を膨張させ、思考を飲み込もうとしている。
片や思考は台風のように膨大な矛盾を己の体に取り込みながら、勢力を増し続け意思に押しつぶされまいと足掻いている。
いずれにせよ、それを抱え込んでいるのは一人の小さな小さな人間だった。

今にも爆ぜそうに脈打つ筋肉、次々と湧き上がる自問自答と思考の濁流に飲み込まれまいとするちっぽけな自我。
結果的にそれらは何度も決壊しそうになりながら、最後まで決壊することはなかった。

この世で唯一にして、最も残酷な神。
「時間」。
誰もそれに逆らうことはできない。

ファンファーレが鳴り響く。

両者は何の回答も得られぬまま、試合場へと続く薄暗いゲートをくぐる。
そして何も得ることもできぬまま、またそのゲートをくぐり
唯一の安らぎと永遠の苦悩が渦巻くこの「控室」に帰ってくるほかなかった。

そして彼は神がまた「その時」を告げるまで、ただひたすらに、答えの出ない自問自答をこの「控室」で繰り返し、いつか決壊してしまうかもしれない己の体を震えながら必死に押さえつけ続けるしかなかった。



『イスメネ・控室・地下鉄 ~終らない終りについての三章~』

すっぱい、それが全てさ、It's all that jazz or not!

2009年2月13日(金)~22日(日)
場所:theatre iwato
http://www.ne.jp/asahi/kurotent/tokyo/09ikuseikouen/

チケットはまだあるみたいです、興味のある方は是非!


Posted by VOLVOX 株式会社 at 22:39│Comments(0)様々な感想
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